賃貸経営において、建物の構造は収益性に大きな影響を与えます。
建築に直接かかる費用はもちろんのこと、建物の耐久性も異なるため、賃貸経営の方針に合わせて選ばなくてはなりません。
そこで今回は、賃貸経営で知っておきたい建物構造の種類や選ぶときの基準について解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら賃貸経営における建物構造の木造とは?
木造は、アパートに多く用いられている建物構造のことです。
主要な構造に木材を使用した構造のことで、おもに以下の工法があります。
●在来工法(軸組み工法):柱や梁で組み上げた構造体に、屋根や壁、窓を造る工法
●2×4工法(枠組壁工法):パネル化した壁や床などの面で造る工法
木造のメリット
賃貸経営において、木造には次のようなメリットがあります。
建築コストを抑えられる
ほかの建物構造と比較して、木造には建築コストを低く抑えられるのが特徴です。
建築コストを抑えれば家賃も低めに設定できるため、入居者を募りやすいメリットもあります。
また、将来的に建物を処分するときも、解体費用を安く抑えられます。
耐用年数ギリギリまで賃貸経営で活用し、あらためて建て替えたり更地にして売却したりすることも可能です。
間取りの自由度が高い
木造の建物構造は間取りの自由度が高く、室内空間を広く取りやすいのがメリットです。
太い柱を必要としないことが多く、部屋を配置しやすい特徴もあります。
そのため、賃貸経営ではアパートや一戸建てといった小規模な建物に適している構造です。
快適性が高い
通気性の良い木造の建物構造は、日本の気候風土に適しています。
木材には調湿効果があり、冬でも室内に結露やカビが発生しにくい効果があります。
そして夏は、鉄骨造などの構造と比較して暑くなりにくいのも特徴です。
そのため、入居者が快適に感じられることが多いでしょう。
木造のデメリット
木造の建物構造は、次のようなデメリットに注意してください。
火災に弱い
木造建築は、ほかの建物構造と比較して火災に弱いデメリットがあります。
しかし近年では、耐火構造の木造建築が増えています。
木造でも燃えにくい技術が用いられているため、防火設備を整えるなどして対策すると良いでしょう。
老朽化が早い
木造建築は耐久性の面で、ほかの建物構造に劣るデメリットに注意してください。
法定耐用年数は22年と定められており、賃貸経営においては耐用年数が近づくにつれて家賃も下落傾向にあります。
このほか、シロアリ被害など木造ならではの問題が生じやすいのもデメリットです。
そのため、修繕やリフォームなどのメンテナンスにより、家賃の下落や空室リスクに備える必要があります。
賃貸経営における建物構造の鉄骨造とは?
鉄骨造は、建物の骨組み部分に鉄骨(鋼材)を使用した構造のことです。
鋼材の厚さによって、以下の構造名に分類されています。
●軽量鉄骨:鋼材の厚さが6mm未満
●重量鉄骨:鋼材の厚さが6mm以上
賃貸経営では、軽量鉄骨は3階建てのアパートなどに用いられる建材です。
そして軽量鉄骨よりも耐久性に優れる重量鉄骨は、中高層の建物などに用いられることの多い構造です。
鉄骨造のメリット
賃貸経営において、鉄骨造には次のようなメリットがあります。
減価償却期間が長い
住宅や店舗用の建物の場合、鉄骨造は鋼材の厚さに応じて以下の耐用年数が設定されています。
●4mm超:34年
●3mm超4mm以下:27年
●3mm以下:19年
厚さが6mm以上の重量鉄骨なら耐用年数は34年で、木造よりも減価償却期間が長くなるメリットがあります。
中高層階の建築に向いている
鉄骨造は、建築確認審査が厳しくなる3階建て以上の建築に向いています。
とくに木造建築ではあまり見られない4階建て以上の中高層階は、耐久性のある重量鉄骨造に適した建物構造です。
シロアリの発生リスクが低い
鉄骨造に用いられる鋼材は、シロアリなどの害虫が発生するリスクは低いメリットがあります。
そのため、木造ならではの問題にさらされるリスクも低いと言えるでしょう。
鉄骨造のデメリット
鉄骨造の建物構造は、次のようなデメリットに注意してください。
建築コストが高い
鉄骨造は木造と比較して、建築コストが高くなるのがデメリットです。
その分だけ家賃も高めに設定する必要があるため、周辺の家賃相場より高くなると入居者が集まりにくくなるリスクに注意してください。
通気性が悪い
鉄骨造は気密性の高さが特徴です。
空調は効きやすくなる一方、通気性は悪くなるのが気を付けたいデメリットです。
通気性が悪いと結露やカビが発生しやすいため、断熱性や調湿性の高い壁材を使用するなどの工夫が必要です。
間取りの自由度が下がる
鉄骨造は、木造と比較して構造柱を大きくする必要があります。
すると室内に柱が張り出してしまいやすく、間取りの自由度が下がります。
柱の位置によっては、家具の配置にも影響が出ることがあるでしょう。
賃貸経営における建物構造の鉄筋コンクリート造とは?
鉄筋コンクリート造(RC造)は、建物の骨組み部分に鉄筋コンクリートを使用した構造のことです。
格子状に組み立てた鉄筋を木枠で囲み、コンクリートを流し込んで基礎から屋上まで一体化させたものです。
鉄筋コンクリート造には、2つの工法があります。
●ラーメン工法:固定された柱と梁により、耐震性・耐久性がある
●壁式工法:基礎・床・壁・屋根を一体化させ、面で構造体を支える
鉄筋コンクリート造のメリット
賃貸経営において、鉄筋コンクリート造には次のようなメリットがあります。
耐久性に優れている
鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年で、ほかの建物構造よりも長く設定されているのがメリットです。
そもそも鉄筋コンクリート造のマンション寿命は平均すると68年で、物理的な寿命は100年を超えるとも言われています。
そのため適切にメンテナンスされていれば、法定耐用年数を超えても快適に暮らせます。
賃貸経営では、長期的に家賃収入を期待できる中高層マンションの建設がおすすめです。
耐震性・耐火性に優れている
鉄筋コンクリート造は品質が安定しており、耐震性に優れている特徴があります。
また、コンクリート自体が燃えにくい建材であるため、耐火性にも優れています。
気密性が高い
鉄筋コンクリート造は気密性が高く、冷暖房効率が良いため、省エネ効果が期待できるのも鉄筋コンクリート造のメリットです。
そして、コンクリートを流し込む建物構造であるため、隙間ができにくく防音性能が高いのも特徴的です。
快適な住環境を整えやすいため、賃貸経営においては空室対策の効果も期待できるでしょう。
鉄筋コンクリート造のデメリット
鉄筋コンクリート造の建物構造は、次のようなデメリットに注意してください。
建築コストがかかる
鉄筋コンクリート造は、木造や鉄骨造よりも建築コストが高くなるデメリットに注意が必要です。
賃貸経営で収益を上げるためには、家賃を高く設定せざるをえません。
家賃は周辺の相場にも左右されることが多いので、鉄筋コンクリート造の建物を建てるときには、適正な家賃設定が可能かどうかを確認する必要があります。
通気性が悪い
気密性の高い鉄筋コンクリート造は、通気性が悪く結露が発生しやすいデメリットがあります。
結露を放置すると建物の劣化が進むため、換気システムを導入するなどの対策が欠かせません。
まとめ
賃貸経営で知っておきたい建物構造の特徴や、メリット・デメリットについて解説しました。
建築にかかるコストや住み心地が異なり、家賃設定にも大きな影響を与えます。
そのため賃貸経営では、入居者や競合物件の状況を加味しながら、建築する物件を決定することが大切です。
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