賃貸住宅経営では、入居者から家賃交渉をされたとき、適切な対応をすることが重要です。
通常であれば家賃の金額は維持したいところですが、ケースによっては交渉に応じることで退去防止につながります。
そこで今回は、賃貸管理・賃貸経営をしている方に向けて、入居者かたの家賃交渉に応じるメリットやデメリット、交渉に応じる基準について解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら入居者からの家賃交渉!家賃交渉に応じるメリット
入居者からの家賃交渉に応じると、当然ながら家賃は下がることになります。
しかし、家賃交渉に応じることで、オーナーにとっても複数のメリットを得られる場合があります。
まず、賃貸経営者が入居者からの家賃交渉に応じる3つのメリットを解説します。
メリット①退去の防止につながる
入居者が退去をする理由はさまざまで、転勤などの場合は引き留めることは困難です。
一方で、賃貸住宅の住み心地は気に入っているものの、安い物件への転居を検討する入居者もいます。
たとえば、何らかの事情により入居者の収入が減ってしまい、家賃の支払いが苦しくなったケースなどです。
このようなケースでは、家賃交渉に応じることで安い物件への転居を防ぎ、入居を継続してもらえる可能性がメリットといえます。
もし空室が出れば次の入居者が長く決まらない場合もあり、その間は空室の家賃収入はありません。
長期的に安定した賃貸住宅経営をおこなうには、家賃交渉に応じるほうが賢明な場合もあるため、見極めが大切といえます。
メリット②修繕費用の出費を抑えられる
入居者からの家賃交渉に応じる場合、退去を防ぐとともに、ほかにもコスト面でのメリットもあります。
たとえば入居者が退去すると、新しい入居者を募集するために、修繕やクリーニングをおこなう費用が必要になってきます。
もし、退去する入居者の部屋の使い方に問題があれば、敷金を充てることもできます。
しかし、基本的には修繕やクリーニングの費用は、賃貸経営者が負担することになっています。
言い換えると、入居者が引き続き入居を継続してくれれば、修繕やクリーニングの出費は抑えることができるのです。
家賃交渉に応じると空室による収入の減少を防ぐと同時に、支出を減らせることもメリットです。
メリット③次の入居者募集が不要
家賃交渉を断った場合には入居者が退去するケースもあり、すると空室対策が必要になってきます。
空室を長引かせないためにも、効果的な入居者募集をすることが肝心です。
入居者の募集や物件の魅力を広く知らせるための宣伝広告をおこない、賃貸借契約が決まると仲介手数料を支払います。
仲介手数料は、次の入居者を決めるために必要な費用ですが、入居者が退去せず、入居を継続していれば掛からないコストです。
賃貸住宅の家賃は築年数を経るごとに安くなるのが一般的で、1年あたりの平均的な下落率は1%ほどです。
長く住んでいる入居者の場合は、家賃が契約当時のままになっていることも珍しくなく、交渉されることも少なくありません。
家賃交渉に応じず退去されたときには、家賃を減らす代わりに、結局は入居者募集で費用を使うことになります。
家賃交渉を受けることで退去を回避すれば、入居者募集自体が不要になることはメリットです。
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入居者からの家賃交渉!家賃交渉に応じるデメリット
家賃交渉に応じると退去や空室を回避できる可能性があり、オーナーにとってもメリットが複数あります。
しかし、家賃交渉に対応する場合は、メリットだけでなくデメリットが生じる可能性にも注意が必要です。
メリットとデメリットをそれぞれ押さえて、家賃交渉に対し、適切な対応ができるように検討するのがおすすめです。
デメリット①家賃収入の減少
入居者からの家賃交渉を受けて家賃を下げると、毎月の家賃収入が減少することがオーナーにとってのデメリットとなります。
家賃収入が減ることで、とくに気を付けたいのは返済中のローンがある場合です。
契約内容によっては、返済の負担が大きくなることもあります。
もしも、返済が困難になった場合には預貯金を充てることになるため、家賃交渉に応じるかは慎重に検討することが大切です。
デメリット②元の家賃に戻すことが難しい
賃貸住宅の家賃にも、法律が関連してくる場面があります。
家賃を上げたいときは、借主である入居者への配慮から、値上げについての正当な理由が求められます。
一度家賃を下げ、のちに元の家賃に戻したいと考えるケースであっても、入居者の承諾がなければ金額を上げることができないのです。
元の家賃に戻すハードルの高さはデメリットのひとつといえます。
その入居者の家賃は、下げた金額で継続されるものと考え、交渉に応じるかを判断することが大切です。
ちなみに、借主である入居者の家賃交渉は、借地借家法のなかで賃料減額請求権として認められています。
借賃増減請求権とは、税金の変動や不動産価格の変動、また近隣地域の家賃相場と比べて不相当な場合は賃料減額の請求を認めるというものです。
ポイントは、周辺にある類似物件の相場との比較です。
たとえば、現在の家賃が不相当という交渉に対しても、近隣の家賃相場と比較して客観的に認められるかが減額を受け入れるかどうかの論点となります。
デメリット③別の部屋との差によるリスク
家賃交渉に応じた場合、別の部屋との家賃の差が生まれます。
入居者間の交流など、何らかのきっかけによって「ある部屋の家賃が交渉で下がった」と伝わる可能性も否めません。
別の入居者から、家賃交渉が入ったり、交渉に応じない場合には不満になったりというリスクがデメリットとして考えられます。
家賃交渉によって下げる際は、別の入居者から交渉が入る場合があることも見越して検討する必要があります。
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入居者からの家賃交渉!応じる判断基準
家賃交渉に応じるかを検討する場合には、メリットやデメリットのほかにも、参考にできる基準があります。
基準を押さえておくと、入居者から家賃交渉された際にも検討しやすくなります。
ここでは、家賃交渉に応じるかを決める際の3つの基準を解説します。
基準①入居の期間が長いか
家賃交渉をする入居者の入居期間は、判断基準のひとつになります。
長く入居しくれている場合には、部屋を気に入って住んでいる可能性が高いです。
家賃を下げることで、住み続ける魅力を感じてくれるかもしれません。
入居期間が長い場合は、これまでの経緯も考慮して交渉を受け入れると、安定経営につなげやすくなります。
基準②明確な交渉の理由があるか
入居者から家賃交渉をおこなってきた理由も、判断する基準となります。
たとえば、会社の事情で給与が減って家賃の支払いも難しくなった場合などは、金額を下げることを検討しても良いといえます。
その場合、支払いが苦しくなれば、入居者は安い賃貸住宅を探すこともできるはずです。
理由とともに家賃交渉をしてきたことは、家賃が下がれば住み続けたい意思があるとも読み取れます。
一方で、明確な理由がない場合には、交渉が度重なることを避けるためにも断るほうが賢明かもしれません。
基準③家賃を滞納したことがあるか
幾度も滞納をした経緯がある入居者からの家賃交渉は、受けないほうが良い判断といえます。
仮に家賃を下げても、滞納を防げるとは限らないからです。
しかし、うっかり入金を忘れていたことがあり、連絡するとすぐ対応した入居者など、信頼関係に問題なければ交渉に応じても良いと判断することもできます。
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まとめ
入居者からの家賃交渉は、応じることで退去防止につながることもあります。
入居期間が長い入居者など、交渉に応じるのも良いでしょう。
安定した賃貸住宅経営につなげるには、メリットとデメリットの両面から検討することが大切です。
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