不動産経営をおこなうと耳にする言葉の1つに、賃貸併用住宅があろうかと思います。
何となくひと昔前のアパートのような感じもしますが、最近でも取り扱いのある賃貸物件の経営方法です。
この記事では、賃貸併用住宅とは何か、またメリット・デメリットや賃貸併用住宅建築までの流れについて解説します。
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賃貸経営における賃貸併用住宅とは
賃貸併用住宅とは、正確な定義はありませんが、1つの建物の中に自宅部分と貸物件部分が共存している構造の住宅を指しています。
自宅兼アパートや、賃貸付住宅とも呼ばれています。
賃貸併用住宅の特徴
相続税の対象になるとともに、建築時には住宅ローンを利用でき、さまざまな間取りが可能です。
広めの土地を持っていて、自分の家族だけで住んでも土地に余裕が残っている場合などに考えられるケースが少なくありません。
賃貸併用住宅の初期費用
目的に応じてさまざまな規模の建物が考えられますが、ここでは3LDKか4LDKの自宅と、同規模の賃貸物件を併設して建てるケースを想定してみるので参考にしてください。
それぞれの広さをおおよそ25坪程度として、2階建てで50坪と設定し、坪単価60万円ほどで建てた場合、50坪×60万円/坪で3,000万円ほどとなります。
そのほか、庭の整備費用や駐車場整備費用などに200万円、部屋のエアコンや家具などに200万円、登記や建築確認費用などに100万円程を見込んでみましょう。
この場合、建築するために必要な費用の総額は、約3,500万円になります。
なお、この際に、住宅ローンを活用したい場合には、賃貸住宅部分を自宅よりも小さくしなければならないので注意してください。
自宅の大きさを30坪として、賃貸住宅の部分を20坪にするなど工夫が必要になります。
ランニングコスト
収入の基本は家賃収入であり、礼金や更新料などは臨時収入です。
住宅ローンの適用を受けるためには全体の5割以上を自宅スペースにしなければならないため、賃貸物件として多くの戸数を設定できないのがポイントになります。
支払わなければならない費用には、ローンの返済や、固定資産税、損害保険料などがあります。
また、入居者募集や物件の管理を管理会社に依頼する場合には管理費が必要です。
そのほか、入居中や退去時に修繕費がかかることも想定しておいてください。
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賃貸経営における賃貸併用住宅のメリット・デメリット
賃貸併用住宅の特徴として、相続税の対象になる点や建築時には住宅ローンを利用できる点があります。
そのため、一般的な賃貸物件の経営と比べてメリットが生まれます。
ここでは、いくつかのメリットのほか、一方で考えられるデメリットも解説するので参考にしてください。
住宅ローンの利用
住宅ローンは、アパートローンよりも金利が低く設定されているのが一般的です。
自宅部分の割合を確保するなどにより、住宅ローンを利用できる点は大きなメリットになります。
なお、自宅の割合は法律で決められているわけではありません。
しかし、住宅ローンで融資する際の要件として、自宅部分を50%以上に設定している金融機関が多いのが実態です。
また、アパートの一室を自宅にするなど賃貸物件メインの場合でも、自宅部分を居住用スペースとして区分登記すると、居住用スペースに対し住宅ローンが適用できます。
区分登記とは、自宅部分を居住用スペースとし、賃貸物件部分を賃貸物件スペースとして、それぞれ分けて不動産登記する手法のことです。
家賃収入でローンを返済
ローンの返済に家賃収入を充てられるため、一般的な居住用の住宅を建てた場合と比べて、ローン返済の負担が軽くなると考えられます。
ローンの全額を家賃収入でカバーしている事例もあるので、自己資金が少なくても賃貸経営ができるケースもあります。
また、ローンの返済が終わってからも家賃収入を得られるため、リタイア後の生活にゆとりが生まれる点もメリットの1つです。
一度、経営が起動に乗ると、安定経営につながるのが賃貸経営の特徴の1つといえるでしょう。
節税効果
まず、固定資産税に関しては、マイホームの所有に対し税制優遇がなされており、賃貸併用住宅も自宅とみなすことができるため固定資産税の軽減措置を受けられます。
1戸あたり200㎡までは固定資産税を6分の1に、200㎡を超える部分については3分の1に軽減される点がメリットといえるでしょう。
また、相続税の評価額を減らすことができる点もメリットです。
相続税評価においては、自宅部分よりも賃貸のほうが低い評価になります。
さらに、小規模宅地等の特例が適用できる場合には、最大330㎡まで80%の軽減を受けることが可能です。
小規模宅地の特例は、亡くなった被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たす場合には80%または50%の評価減を受けられるものです。
賃貸併用住宅のデメリット
賃貸併用住宅の場合、オーナーと入居者との距離が近すぎるため、お互いに気をつかって大変に感じるケースが考えられます。
この点に関しては、入居者からすると何かあればすぐに相談できる安心感につながり、オーナーから見ても入居者の状況を確認できるなどメリットにもなります。
また、売却が難しくなる点もデメリットの1つです。
収益物件としても自己居住用としても中途半端と判断され、売却しづらくなるケースが少なくありません。
さらに、住宅ローンを使えるのは、あくまで自宅であるからであり、引っ越しなどで住居が変わる場合は規約違反になる可能性が生まれるので注意しましょう。
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賃貸経営における賃貸併用住宅を建築する流れ
賃貸併用住宅を建築する流れは、一般的な賃貸物件と変わりません。
ご存知と承知していますが、ここでは、あらためて建築までの流れについて解説します。
相談・プランニング
まず、ハウスメーカーや工務店、設計会社などに対し、賃貸併用住宅の希望する規模や間取り、見込んでいる費用などを伝えてください。
その後、間取りのプランを受けられるので、気になる部分については、その都度伝えて変更して希望の物件に仕上げます。
なお、プランニングについては複数に依頼しても構いませんが、申込金が必要な会社もあるので注意しましょう。
契約
条件などが合致した会社と契約を結んでください。
手持ち資金がないときには、契約前に金融機関へ相談しておき、ローンの審査を受け承認を受けた際に、つなぎ融資などで着工金を入金します。
建築工事と入居者募集
着工金を納めたら、建物の建築工事が始まります。
そして、建築中から賃貸物件部分の入居者募集を始めましょう。
入居者の募集や、管理については、建築を依頼している会社がおこなっている場合には並行して依頼しても問題ありませんし、ほかの会社を探して契約しても問題ありません。
建物が引き渡しになってから、できるだけ早く家賃収入を得られるようにしておくのがポイントです。
竣工、入居、運用開始
建物が完成したら、住宅ローンで残金を支払ってください。
その後、自宅部分への引っ越しと、入居者の入居を開始し、家賃の受け取りを始めます。
ここまでが、事業開始までの流れになります。
なお、不動産登記の手続きは竣工後、速やかに済ませておきましょう。
賃貸併用住宅の場合には、区分登記になる場合と単独登記で済む場合があり、司法書士などに事前に相談しておくことをおすすめします。
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まとめ
賃貸併用住宅は、一般的な賃貸物件とは違うメリットがありますが、プライバシーの確保が難しいなどのデメリットも生じます。
賃貸管理や経営を始めようと考えている方は、双方を比較し、ご自身にあっているか慎重に見極めたうえで取り組んでください。
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